北海道からの知らせ アっ晴゜の日々 2012年11月21日 北海道時代 今想えば楽しい思い出だが、北国での経験があったからこそ今もこの仕事が出来ている 師匠はセンスが良く腕も立ち、すごく物知り そんな師匠は中学を出ると関東の老舗寿司割烹に従事、そこで板長まで上り詰めた後、関西の由緒正しい店の板場に入る 自分が知り合った頃はちょうどその店の煮方(味付け)ポジションに昇格する時で、大阪ミナミでも1,2と言われる程の若き料理人であった 六畳ちょっとの店の住み込み部屋には修行先という垣根を超えて同じ志を持つ者同士が集まっては毎晩夢を語り合う。 メンバーには「包丁一本 サラシに巻いて~♪」の歌にもなった割烹ふじよしで当時修行していた兄弟子の新田さんや 当時どんどん大きくなっていた喜川系、吉兆などとにかく関西上方割烹の世界をこれから背負って立つ者達が夜通し遊び、熱心に料理の研究をし、喧嘩もよくしていた。 そんな暮らしの中、師匠が地元北海道に帰ることを決めた 満を持して店を構えることになったのである それについて行き北海道での厳しくも楽しい暮らしがスタート 師匠は仕事になると恐ろしくて、周りが見ていて涙を流すほど叱られたりもしたが本当に弟の様に良くしてくれた 常連さんの中にいつもそんな自分を見守ってくれているご夫婦がいらっしゃり、カウンター越しの僕を見て 「叱られるのは嬉しいことだから頑張って」と励ましてくれ勇気付けてくれていたのだが、先日奥さんが亡くなったと連絡があった どこの馬の骨ともわからない生意気な僕をファミリーのように受け入れてくれ、可愛がってくれた北国のみんなに何のお礼も出来ないままの自分に来た悲しい知らせ 来年こそは遊びにいきます…毎年そう言いながら実現させぬまま年月が経つ 悲しい別れに沈んでいたそんな自分の元に荷物が届いた 荷物を開けると、気丈に振舞う旦那さんからの手紙 そしてその木彫りアーティストである旦那さんの作品が ソイ 北日本で幻とも言われるほど高級魚 そのソイが流木に彫ってあり、店に飾ってくれ 繁盛を願うとあった 来年こそは行けたらいいな ご夫婦には本当にお世話になったのに… PR